ストーリー東京に暮らす主人公『深石瑠璃色』は、鯨の声を聴いた。窓の外に広がっているのは一面の藍と白で、年々増していく猛暑のせいで蝉の声すら弱々しくて。クーラーの効いた教室から見る空は、どこまでも遠く見えた。三年生。未だ部活に一生懸命の彼も。推薦のため必死に面接練習している彼女も。全てが少しずつ遠くなっていく。自分たちの学生生活はあと半年もすれば終わる。これが最後の―青い、季節。そんな夏が迫って来る...
”希死念慮”――。「この世界から、僕の存在が消えてなくなればいいのに」都内に住む男子学生・『宵宮梯子≪よみやはしご≫』は、学校の花壇に横たわり青空を仰ぎながら、そう願った。耳に突き刺さる蝉の声も、身を焦がす熱い陽射しも。学生たちの喧噪さえ、遠く聞こえた。青く、蒼く、碧≪あお≫に惹かれる――静かな、時間だった。それから1年が経ち、以来不登校になっていた梯子は思い立って家出を決行する。あの日失った、自...
──2045年に、人はまだ‘‘心’’を持っているだろうか。2045年。『技術特異点−シンギュラリティ−』が訪れると予見された年。 しかしそんな気配は露も見せず、代わりに人を助けるため生みされたアンドロイドたちは、 6つの世代を追って人間の生活に浸透している途中。「私は、月生まれのアンドロイドです」アンドロイド嫌いの少年「家入操」が地方都市で出会った女性は、月で生まれた最先端のアンドロイド。彼女は人...